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「世界最高のホテル プラザでの10年間」


ホテルのサービスは万国共通ではありません。アメリカのサービスはアメリカの文化に基づいています。日本のホテルと同じつもりで利用すれば、当然さまざまな軋轢が生じることになります。

たとえば、切れたベッド脇の電球を交換してもらいたいとき、ゲストは然るべき部署に連絡をとることになっています。それを受けるのは「サービスエキスプレス」とか「ゲストサービス」と呼ばれる部署です。

ところが、日本人ゲストに起こりがちなのは、部屋を掃除しにきたハウスキーパーに依頼をしてしまうことです。そうしますと、まず電球は交換されません。アメリカのホテルは役割分担制で働きますから、自分の仕事以外のことはしなくていいことになっているのです。これは日本のホテルの常識からしたらありえないことですから、「なんとサービスの悪いことか!」と感じてしまうのです。しかし、これがアメリカのシステムなのです。怒るのではなくて、理解することが必要なのです。

一方、アメリカのホテルが、日本のホテルではとてもできないサービスを行うこともあります。たとえば早朝にお年寄りが到着し、スイートしか部屋がないとします。そうしたとき、フロントスタッフはスイートにお年寄りを案内し、部屋ができてから移動していただくという手配を自分の判断で行います。それができるのは、お年寄りをいたわることが正しいことで、正しいことをしている限り、誰からも責められる心配はないという安心感があるからなのです。もし上司が責めれば、スタッフは法的に戦えばいいわけです。上司は勝てはしませんし、もとより、そんな正義のない人は上司としての地位を守れません。つまり法律がすべての人にとっての判断基準になっているのです。

このような場合、日本のホテルでは上司の判断を得なければなりません。勝手にスイートを汚したら上司に叱られるかもしれません。上司がいなければ、「もうしわけございませんが、まだ部屋ができていません。」という案内をすることになってしまいます。ほとんどの場合、日本での判断基準は法律ではなく上司の考えになるのです。

一見、日本のサービスに慣れた人には、悪い面しか見えないアメリカのサービスですが、実は日本のサービスでは適わない部分もあるのです。アメリカのホテルを快適に利用するにはそうした文化の差から生じるさまざまな違いを知っておくことです。それをお伝えするために書いたのが「世界最高のホテル プラザでの10年間」です。


「海外旅行が変わるホテルの常識」


危険なことが起きたときに、英語できちんと状況を説明できない子どもを部屋に残しておくことはニューヨークの法律では罪になります。ロビーの売店に買いものに行くだけでも、子どもをつれていかなくてはなりません。

アメリカのチップは気分制ではなく相場制です。レストランで食事をしたら、最低15%を払わなくてはなりません。もしサービスが悪いと感じたのであれば、マネージャーに苦情をあげることが先決です。なにも言わずにチップの額を減らしてはいけません。説明がなければ、レストラン側はわからないからです。払わないと、日本人はチップというものを知らないのだという理解になります。実際、こうしたことが頻繁に起きてきたことで、日本人とみると、請求書に18%程度のチップを予め書いて出すレストランが多くなりました。

ベルマン、ドアマンに払うチップも相場が決まっています。残念ながらその額を知っている日本人旅行者はほとんどいません。それが原因でベルマンは日本人ゲストから遠ざかるようになりました。チップは彼らの主たる労働賃金です。基本給よりも圧倒的にチップの稼ぎのほうが多いのです。きちんと賃金を払ってくれなければ、働きたくなくなるは無理もありません。それがサービスの低下へとつながって行きます。

実際は、こうしたことが原因で不快な思いをすることがたくさん起きています。働くスタッフも嫌な思いをしています。そして、日本人全体へのサービスのレベルを変えて行きます。これはとても残念なことです。知識さえあればすべて防げることなのです。これまでのガイドブックにはそうした情報がほとんど含まれていませんでした。それをお伝えしたくて書いたのが「海外旅行が変わるホテルの常識」です。アメリカに行かれる前に、アメリカのホテルの知識を身につけて快適な滞在を楽しんでください。




「サービス発展途上国日本」―お客様は神様ですの勘違いが日本を駄目にする



日本のホテルマンを対象にアンケート調査を行ったら、73%もの人がホテルを辞めたい、あるいは辞めようと考えたことがあるという数字がでてきました。パワーハラスメント調査では、74%の大企業でいじめがあったという結果があります。さらに、日本はアメリカの2.5倍も自殺率が高く、西側先進国では最高値です。こうした数字が物語ることは、日本社会で暮らす多くの人々が苦しみを抱えているということです。

私はアメリカのホテルで働いていて、会社に行くのが嫌だと思った日は一日もありませんでした。プラザでの10年間は毎日が楽しみの連続でした。多くの同僚たちも楽しく仕事をしていました。どうしてこうも日米の間には差があるのでしょう。

大きな原因の一つは法律が身近にあるか否かだと私は思っています。たとえば、ホテルで粗相が起きても、アメリカ人は法的に通らないと思う要求はあまりしません。すれば、ホテルから理不尽なゲストという烙印を押されてしまうからです。一方、日本人の心の中には法律に照らし合わせて考える習慣はなく、とても理不尽な要求をあげてくるゲストがいます。それに日本のホテルは最後まで付き合います。日本では、お金を払う立場にいる者とサービスを提供する者のあいだに強い上下関係があり、それがホテルマンに苦痛をあたえ、うつ病に苦しむ人々を生み出します。

さらに、社内環境にも問題があります。上司のリーダーシップの欠如によって引き起こされる社内環境に不満を募らせる多くの人がいます。上司の最も大切な役割は自分の部の成績を最高に導くことです。そのためには、部下が快適に働ける環境を用意する必要があります。また、「上司のために、全力で報いたい」という気持ちを持たせることも大切です。しかし、アンケート調査で分かることは、多くの職場でいじめ問題が起きているということです。これでは上司の役割が果たされているとはいえません。

アメリカでは、部下の能力を最大限に引き出せない上司は、資質なき者としてポジションを守ることができません。また、HR(人事部)は定期的にアンケート調査を行い、スタッフの不満要素を見つけては潰して行きます。こうした環境ではパワーハラスメントは起こりません。さらに、私が有給休暇を2年ためたら、会社が買い上げてしまったことがありました。規則で有給休暇は2年以上ためられないことになっているからです。「とらなかったのは私の勝手」と言ったところ、「労働局の調べがはったときに大変なことになるから放置できない」ということでした。アメリカの会社はスタッフの労働環境に常に気をつかい、彼らの法的権利を守っています。外部的にも内部的にも、アメリカのほうが快適な労働環境を造りだす優れた仕組みがあることが分かります。

日本は勤勉な人々が集まった国でしたから、労働環境をよい方向にもって行かなくても人々は一生懸命に働きました。しかし、今、環境は大きな変化をとげました。昔のままの態勢を放置しておくことは、人々を苦しみに追いやることになります。慣習も会社のあり方も変わらなくてはならない時代を迎えています。そのことをお伝えしたくて書いたのが「サービス発展途上国日本」です。



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